中国人と日本人の血が流れ、その立場と複雑な気持ちに悩まされている人々がいる。最近発売された小説「問血」の作者・佐藤昇(王昇)さんもその一人だ。今月25日、佐藤さんは同小説を引っ提げて黒竜江省哈爾浜(ハルビン)市を訪れ、発売記念サイン会を開催した。佐藤さんは、学生時代を過ごした哈爾濱市に、深い思い入れがある。黒竜江日報が報じた。
哈爾浜市でたくさんの「初めて」
佐藤さんは、12-15歳の少年時代を哈爾浜市の徳強学校で過ごした。同期間の最大の収穫は、「中国語を勉強できたと同時に、新たな思考回路が形成されたこと」という。当時、多くの人に出会い、初めて中国語を教えてもらい、初めて恋愛をした。当時知り合った多くの友人とは今でも、連絡を取っている。残留孤児の子孫である佐藤さんは当初、困惑することも多かったものの中国人にどのように接すればよいか友人から教わった。
自身の経験をベースに
佐藤さんは、「自分の経験と背景がベース。日本で育った主人公の李春(佐々木春)は残留孤児の三世で、11歳の時に、哈爾浜市の徳強学校に来た。彼にとってはチャレンジに満ちた暮らしとなった」とし、小説を書こうと思った理由について、「小説を通して、中国と日本両国の人に、相手の立場に立って問題を考えるということを学んでほしい。また、両国の問題の板挟みになっている人々がいることも知ってもらいたい」と語った。また、「小説を書いて、主人公と共に成長しているような気持ちになった。困惑している人にもこれを読んで同じ気持ちを味わってほしい」と語った。