▽TPPが混乱もたらす FTAはまだ不明瞭
3カ国の首脳会談が再開し、長らく未決だった中日韓FTA交渉が再び俎上に上るようになった。3カ国は12年11月20日中日韓FTA交渉をスタートすると宣言し、14年末までに4回の交渉が行われたが、これまでに得られた実質的な成果は中韓FTAだけだ。
交渉の進展ぶりをみると、日本と中韓とは細かい問題で多くのずれがあり、これが中日韓FTAの実現を遅らせている主な原因だ。商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院国際市場研究部の白明副主任は、「3年前に比べ、これから行われる中日韓FTA交渉は『物是人非』(周りの景色は変わらないが人は変わる)という言葉で形容される。3年前には環太平洋経済連携協定(TPP)はなかったし、中韓FTAもなかったし、アジア太平洋FTAという概念もなかった。今、3カ国がFTA交渉を再び進めようとするならそこには確かに大きな困難が横たわる」と指摘する。
また白副主任は、「とりわけ日本はすでにTPPの加盟国だ。TPPにおいて、米国は日本に手厚い条件を付与し、自国の自動車メーカーの市場の一部を日本に安く譲り渡そうとしている。これは日米のもともと固い結びつきと巨大な規模をもった貿易関係をさらにグレードアップさせようとするものだ」と述べる。
だが白副主任は、「TPPの存在は中日韓FTAの死刑宣告を意味しない」とも述べ、「自分のみるところでは、中日韓FTAの妥結は3カ国にとっていずれもメリットがある。中国が世界3位のエコノミーである日本および14位の韓国とFTAを締結すれば、TPPが中国の輸出入に与える打撃を相当緩和することができる。韓国はFTAを通じて韓国の現在の『近くを捨てて遠くを取る』貿易政策を改めることができるし、日本はTPPがもたらす恩恵を享受すると同時に、北東アジア貿易圏でも一定の位置を占めることをごく自然に望んでいる」と説明する。