▽中日関係「楽観」 仏独参考に若者交流の拡大を
第2次大戦終結70周年の意義について、瀬野氏は、第2次大戦終結70周年は歴史を振り返るチャンスであり、未来の発展の道を探るのに非常に重要だと語った。瀬野氏によると、現在の日本の歴史教育には二つの問題がある。第一に、日本は四方を海に囲まれており、外部に対する日本人の理解には一定の限界があるということだ。戦争については、日本人は、日本が原爆投下に遭ったという痛みの記憶を持っているが、日本の侵略に遭った国が受けた痛みについてはよくわかっていない。戦争を経験した人の多くは、アジアの隣国で自らが行った残虐なことは語りたがらず、若者は、経験者を通じて戦争の残酷性を知る機会がなかなかない。
第二の問題は、日本の学校が近現代史教育において抱えている欠陥である。瀬野氏によると、授業のコマ数が足りない、生徒が進学試験の準備をしなければならないなどの原因から、日本の学校の歴史の授業は近現代史についてはちらっと触れる程度ということになってしまう。最近では、高校教育で世界史と日本史と地理とが選択科目になっており、一部の生徒が日本の近現代史を学ぶ機会を失うことにもつながっている。これと比べると、中国人の学生が歴史の面で持っている情報の量は日本の学生をはるかに超えている。「歴史教育をきちんとやらなければ、いつか問題になるだろう。人々が正しい道を進むための道標となるのは歴史だからだ」
瀬野氏は、若者は戦争がカッコいいことでも美しいことでもないということを知らなければならないと語る。戦争は人の命を草の葉のように扱う。戦争が恐ろしいのは、人間の内心の獣性をあらわにするということだ。瀬野氏は、国連ユネスコ憲章から、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」「相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった」という言葉を引用してこれを語った。
2015年夏、日本国会は安保法案を採択し、日本の安保政策は戦後最大の転換点を迎えた。日本国内には「平和憲法」の改正を求める声もあり、日本の将来の発展の道に対する国際社会の憂慮を引き起こすことともなった。瀬野氏はこれについて、日本は今後も戦後の70年と同様に「平和国家」の道を歩むだろうと語った。「それ以外に日本には取るべき道はない」。瀬野氏は、「日本は島国で、国土面積が狭く、資源にも乏しい。日本は、世界各国と良い関係を保ってこそ発展を続けることができる」と指摘した。
瀬野氏は、「将来(日本が平和の道を守っていくこと)は楽観している。日本国民は戦争を望んでいないからだ」と語る。日本が安保問題の政策調整を試みた時の国民の反応からもそれはわかる。もしも戦争の危険が訪れれば、日本国民は全力で反対するはずだ。戦争が終わって70年が経ち、日本社会にも大きな変化が起こっている。瀬野氏によれば、憲法を含む法律を改正するということになっても、「平和憲法」の核心である第9条の堅持は変わらず、日本は平和主義と民主主義の基本方針を堅持するはずだという。