(5)財産権保護の制度を整備する。財産権は所有制の核心である。帰属が明瞭で、権利・責任が明確で、保護が厳格で、流通の自由な近代的財産権の制度を整備する。公有制経済の財産権は侵害してはならないし、非公有制経済の財産権も同様に侵害してはならない。
国は各種所有制経済の財産権と合法的な利益を保護し、各種所有制経済が法律に基づいて平等に生産要素を使用すること、公開・公平・公正に市場競争に参与すること、同様に法律の保護を受けることを保障し、各種所有制経済を法律によって監督・管理する。
(6)混合所有制経済を積極的に発展させる。国有資本、集団資本、非公有資本などが相互に株式を持ち合い、相互に融合した混合所有制経済は、基本的経済制度の重要な実現形態であり、国有資本の機能の拡大、企業価値の維持と増大、競争力の向上に役立ち、各種所有制の資本が互いに長所を取り入れ短所を補い、互いに促進し、ともに発展することに役立つ。さらに多くの国有経済とその他の所有制の経済が混合所有制経済に発展することを認める。国有資本の投資プロジェクトに対し非国有資本の資本参加を認める。混合所有制経済が従業員持ち株制を実行し、資本所有者と労働者が利益共同体を形成することを認める。
国有資産の管理体制を整備し、資本管理を主として国有資産に対する監督・管理を強化し、国有資本の授権経営体制を改革し、いくつかの国有資本運営会社を設立し、条件に適った国有企業を国有資本投資会社に改組することをサポートする。国有資本の投資運営は国の戦略目標に奉仕し、国の安全、国民経済の命脈にかかわる重要な業種や鍵となる分野により多く投入すべきであり、公共サービスを重点的に提供し、重要な将来性のある戦略的産業を発展させ、生態環境を保護し、科学技術の進歩をサポートし、国の安全を保障すべきである。
国有資本の一部を社会保障基金の充実のために振り向ける。国有資本の経営予算制度を整備し、国有資本の収益から公共財政に上納する割合を高め、2020年には30%まで増やし、より多くを民生の保障と改善に用いる。
(7)国有企業の近代的企業制度の整備を推進する。国有企業は全人民所有に属し、国の近代化を推進し、人民の共同の利益を保障する重要な力である。国有企業は総体としてすでに市場経済と互いに融合しており、必ず市場化、国際化の新たな情勢に適応しなければならず、経営の意思決定を規範化し、資産価値を維持・増大させ、公平に競争に参加し、企業効率を高め、企業を活性化し、社会責任を引き受けるなどに重点を置いて、国有企業の改革をさらに深化しなければならない。
異なる国有企業の機能を正確に区別する。国有資本の公益企業への投入を増やし、公共サービス提供の面でより大きな貢献をする。国有資本が持ち株経営を継続する自然独占業種においては、政府と企業の分離、政府と資本の分離、特許経営、政府の監督・管理を主な内容とする改革を実行し、異なる業種の特性に基づいて鉄道網と輸送を分離し、競争的な業務を自由化し、公共資源配置の市場化を推し進める。さまざまな形の行政独占をさらに排除する。
協調運営し、効果的に牽制しあうコーポレート•ガバナンス構造の健全化をはかる。プロフェッショナル・マネージャー制度を確立し、企業家の役割をよりよく発揮させる。企業において管理者の昇進・降格、従業員の採用・解雇、昇給・減給が自由にできる制度改革を深化させる。長期的に有効なインセンティブ制約システムを確立し、国有企業の経営・投資責任の追及を強化する。国有企業の財務予算など重要情報の開示を進めることを模索する。
国有企業は市場による従業員採用の比率を合理的に増やし、国有企業の管理者の俸給水準、職務待遇、職務消費、業務消費を合理的に定め、厳格に規範化する。
(8)非公有制経済の健全な発展をサポートする。非公有制経済は成長の下支え、イノベーション促進、雇用創出、税収増加などの面で重要な役割を果たしている。権利の平等、機会の平等、規則の平等などを堅持し、非公有制経済に対するさまざまな不合理な規定を廃止し、さまざまな目に見えない障壁を取り除き、非公有制企業が特許経営の分野に参入する具体的な方法を制定する。
非公有制企業が国有企業の改革に参与することを奨励し、非公有資本が株式を保有する混合所有制企業の発展を奨励し、条件のそなわった私営企業が近代的企業制度を確立することを奨励する。