2014年2月25日  
 

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専門家「煙霧とうつの関係を裏づける根拠はない」

 2014年02月25日15:50
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 煙霧が中国全土を再び覆い尽くそうとしている。北部各大都市の街頭では、「完全武装」した市民の姿が当たり前のように見られるようになった。今回の深刻な煙霧への対策にあたり、人々は、大気の質の劣悪さを指摘する以外に、煙霧天気が続くことで精神状態に何らかの悪影響が及ぶのではないかと心配し始めている。「いらいら・焦り」「眠気」「活動効率の低下」などが、煙霧が原因で起こり得る症状の「キーワード」となっている。その延長線上で、煙霧は「こころの風邪(うつ病)」の原因となり得るという理屈が成立した。煙霧が「肺」だけではなく「こころ」にもダメージを及ぼすという説は、果たして正しいのだろうか?専門家はこれについて、「今のところ、煙霧とうつとの関係を裏づける研究成果は存在しない」と指摘した。新華網が報じた。
 
 スマホ向けチャットアプリ「微信(WeChat)」の友達圏では、ここ数日、「煙霧のせいで気分が沈みがち」といった内容の投稿が至る所に見られ、多くのユーザーがそれに同意している。誰もが期せずして「煙霧と気分の落ち込みは関係がある」と感じている原因は、一体どこにあるのだろうか?各大型フォーラムにおいて、ユーザーから寄せられた意見で最も多かったのは、「日照量は体内のメラトニン分泌に影響を及ぼす。曇りの日は、メラトニンの分泌が多く、細胞の活性化に影響が及び、気分が落ち込みやすい」という見方だった。
 
 この「科学的」意見について、北京大学心理学部の鐘傑・准教授は、次の通り説明した。

 メラトニンの分泌量とうつとの間に相関関係があることは否めない。だが、この種の影響は、白夜や極夜の現象が見られるロシア、ノルウェー、デンマークなど高緯度地域の国々に限定される。今回、煙霧がかなり深刻な北京・天津・河北地エリアは、それほど高緯度に位置しておらず、長期にわたり日照時間が不足する現象が生じることはない。このため、これらの地域に住む市民がメラトニンと関係するうつ症状を呈する可能性もない。

 これで「曇天シンドローム」の謎が解き明かされ、煙霧が「うつ」の口実とはならなくなった。鐘准教授は、「多くの人が、煙霧が発生すると気持が落ち込むと感じる理由は、普段の気持ちの抑制やコントロールに問題があるからだ。煙霧天気は、マイナス気分を発散するための手段・言い訳のひとつに過ぎない」と指摘する。

 鐘准教授はさらに、「今後、煙霧によってうつが生じるといった誤解が再び広まることのないよう、政府は、科学的普及・PR活動を強化し、市民が煙霧に対して正しく対処するよう導く必要がある。また、市民も、日常生活において、気分のコントロールやストレスの解消をいっそう心がけるべきだ」とアドバイスしている。

 多くの市民が「煙霧が原因で生じた」と思いこんでいる「心理的な落ち込み」への対処法について、南開大学メンタルヘルス指導センターの袁辛・センター長は、以下の通りアドバイスしている。

 規則的に休息をとることは、良い精神状態を維持する上での重要な方法だ。「飲食」と「休息」がこころに及ぼす影響は、天気による影響などはるかに及ばないほど大きい。不規則な時間に量的にばらばらな量の食事をとり、執務時間と休憩時間もまちまちであれば、こころにかなり深刻なダメージが及ぶ。室内エクササイズなどで身体を鍛え、映画を観る・小説を読むなどして気持ちをリラックスさせ、日常生活での活動量を保つよう心がけると良い。また、煙霧による健康被害を考慮し、長時間屋外で過ごすことは極力避けるべきだ。

 煙霧に対しては、過敏にならない程度に注意するのが最良の方法だ。日常生活に支障をきたすほど煙霧を気にし過ぎると、かえって気分が落ち込み、さらに進むと抵抗力が低下する。最も大切なことは、煙霧を適宜予防し、落ち着いた気分で毎日を過ごすことだ。(編集KM)

 「人民網日本語版」2014年2月25日

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