(1)日本銀行(中央銀行)が主導する超緩和政策は今後も継続し、日銀はこの政策に関わる輸出問題をまだ話し合っていない。金融政策が大幅な量的緩和、質的緩和を継続することを背景として、円が値上がりするとはみられず、このことが日本の商品輸入価格を引き上げている。14年下半期以降の国際原油価格の突然の暴落が輸入価格を引き下げており、これがなければ日本の貿易赤字はより大きな規模になったとみられる。
(2)日本企業の海外生産比率が引き続き上昇し、11年の18%から14年は28.2%と大幅上昇した。自動車などの輸送機械では海外生産比率が50%を超える。海外生産の増加が日本国内の「産業空洞化」現象を招き、経済は好転したものの、日本の輸出状況は改善されず、海外に拠点を置く日本企業が対日輸出を増やして、いわゆる「逆輸入」現象が形成されただけだ。
(3)大幅な円安にともない、海外に拠点を置く一部の日本企業のいわゆる「国内回帰」現象が起こり、15年1月の回帰は270件に上った。だがこうした回帰は主に日本の国内市場をにらんでの動きであり、製造業が国内に回帰して再び生産を始めるにはそれなりの時間がかかるのが常だ。よって日本の貿易赤字現象は今後も続くとみられる。
だが注意しなくてはならない点がある。日本貿易は赤字現象が続く見込みだが、日本の経常収支は黒字が続いていることだ。これは主に海外に投資する日本企業がもたらしたリターンによるもので、とりわけ円安を背景として、こうした企業の利益獲得力が上がっていることがある。また日本政府が最近うち出した査証(ビザ)発給要件緩和やサービス貿易発展に関わる措置にも一定の功績があり、大勢の外国人観光客が日本を訪れて買い物したことが明らかに日本の消費を引き上げた。