「社会人になりたての私にとって、春節(旧正月。今年は1月31日)の里帰りで何よりも恐ろしいのは、親戚一同から、マイホーム・マイカー・給与などありとあらゆる質問攻めに遭うことだ」--。重慶の某国有企業に勤める楊さんは、春節が来ると、あちこちの親戚から受ける「拷問」にまったく辟易するとぼやく。新華網が伝えた。
春節が間近となった今、楊さんと同様、中国の多くの若者にとって「春節大拷問」は頭の痛い問題だ。微博(ウェイボー)では数万人のネットユーザーがこの問題をめぐって熱い議論を繰り広げている。
ネットユーザー「鐘芸super」さんは、「年に一度の恐怖の時がまためぐってきた!帰省して年越しする時に何よりも恐ろしいのは、以前は学業成績を親戚に聞かれることだったが、現在は仕事の様子や給料を問い詰められることだ。このストレスはあまりにも大きい!」と投稿した。
特に、結婚・恋愛に関する「拷問」は、若者にとって頭痛の種となっている。ネットユーザー「泡泡熊」さんは、「うちの親戚は、春節が来るたびに『恋人はできた?まだなの?選り好みしちゃダメよ!ぐずぐずしていると、素敵な人はたちまち他人に取られるわよ!』と煩いことこの上ない。恋人をゲットするのは、市場で野菜を買うのと同じなわけ?500グラム2.5元っていうの?」と憤慨する。
だが、どんなピンチに陥っても、必ず解決の道はあるものだ。2014年「春節大拷問」にどのように対抗すべきかをめぐり、ネットユーザーが次々と討論に加わり続々と対策を提案、「防衛・反撃戦」がネット上でシミュレーションされた。
あるネットユーザーが打ち出した戦略は、「売萌(萌えの押し売り)」だ。あらゆる質問に対して、「私はまだ子供だから・・・」で対応する。「太極拳(のらりくらりとかわす)戦法」を使うというネットユーザーもおり、「年長者が何を言ってきても、『はい、分かりました。問題ありません。おじさん(おばさん)にご心配いただき恐縮です。ありがとうございます』と決まり文句で答えること」と提案した。
ネットユーザーの共通した結論として出て来た対応策は、「先んずれば人を制す」。相手がこちらに質問してくる前に、「おじさん、去年は昇進しましたか?それとも、新年を機に昇進の辞令が出そうですか?」「おばさん、商売の方はいかがですか?新年には、チェーン店の数をさらに増やせそうですか?」など、相手に対する質問をいくつか前もって準備しておく。
年長者が強烈な関心を抱いている一方で、若者は強烈な「反感」を抱き、「反撃」を目論んでいる。
北京師範大学教育学部の孫進・准教授は、次のような見方を示した。
「中国式伝統的家庭教育」の大きな弊害のひとつとして、年長者と若者との間で平等な交流や意思疎通を行ってはならないという考え方が挙げられる。このことから、若者に対する年長者の関心が高圧的・管理的な態度によって示されるケースが多い。例えば、若者の結婚や出産の問題について、年長者はどうしても「上から目線」で指導的な物言いをしてしまい、平等な会話が成り立たなくなり、若者はつい心理的に反発を感じてしまう。
四川省社会科学院社会学研究員の胡光偉氏は、「若者の方も、年長者の関心の示し方について、ある程度理解し受け入れる必要がある。もともと、年長者の心の底には、若者が人生の荒波を上手に乗り越え、無駄な回り道をしなくてすむようにという思いやりと配慮があるのだから」と語った。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年1月21日