第二に、夏季の旅行は過去よりも力強い伸びを示していると言えるだろうか。実際はこれとは違う。円安などの影響を受け、海外旅行に出かける日本人は減少している。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2014年上半期の日本の出国者数は801万6200人で、前年同期比2.9%の減少となった。
安倍首相は今後、「一時的なもの」というような虚言を何度も繰り返さなければならなくなるかもしれない。安倍首相はこれからも、新たな増税に直面することになっている。2015年10月に消費税引き上げを計画通り行えば、安倍首相の支持率はさらに下落するだろう。だがもしもGDP成長がうまくいかず増税を取りやめれば、国債の金利が高まり、日本の債務返済能力が低下し、日本に対する投資者の信頼が失われることとなる。
もちろんすべての罪を増税に着せるのはフェアではない。そのほかにもまだ、解決の必要な成長の制約要素がある。一つの根本的な問題は、庶民が「アベノミクス」の恩恵をまだ受けていないということだ。日本政府が最近、従業員の収入を上げるようと企業に対して異例の要請を行ったのも、それを証明している。安倍首相も、労働者の収入が増加しなければ、GDPの60%を占める国内消費が増加するわけはないということに気付いている。
安倍首相の放った矢はことごとく、庶民の利益を損なうものとなっている。円安や量的質的金融緩和で最大の利益を得ているのは企業である。企業のこの利益が自分に回ってくるのを待っている庶民に、安倍首相は増税措置を取った。増税されれば、商品の値段は上がる。少しばかり上がった給料はこれで、また取り上げられてしまう。
事実上、経済成長の利益を受けているのは一握りの人にすぎない。日本国内では、以前の国際競争力を回復するため、企業が給与引き下げや人員削減を開始し、非正社員の比率を拡大し続けている。日本政府の統計データによると、日本の就業人口のうち約30%が非正規雇用で、その給与待遇は正社員の3分の1にすぎず、こうした人々はいつ解雇されてもおかしくない。日本では、正社員に対する待遇は良いが、非正規雇用者の賃上げや額外の保障の提供は嫌がられる。多くの従業員の給料は上がってもインフレに追いつけず、需要が抑制されている。
「アベノミクス」の末路を安倍首相も感じ始めているのかもしれない。8月7日と8日、自民党の石破茂幹事長は新潟県湯沢町で、自分と関係の深い約30人の議員を集め、研修会を行った。自民党の現総裁である安倍首相の同意なしに、30人以上の議員からなる「石破派」が作られたとは考えにくい。日本の政治屋は石破幹事長を安倍首相の政敵として描き出そうとしているが、「石破派」は彼らの使命をきちんとわきまえているはずだ。即ち、人を換えても政治は換えない、ということだ。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年8月19日