4.宋代建窯油滴天目茶碗
南宋時代(12~13世紀)、大阪市立東洋陶磁美術館所蔵。
高さが7.0センチ、口径が12.3センチ、高台径が4.3センチ。1951年に国宝に指定された。
「油滴」の名のとおり油の滴のように金、銀、紺に輝く斑文が、内外にびっしりと現れている。これらの斑文は、焼成時に釉中で破裂した無数の気泡のあとに、酸化第二鉄の粒子が結晶となって生じたものである。釉の流れに従って斑文は、口縁部で小さく、胴中央で大きく、裾部で細長く現れている。天目茶碗は、日本に多く請来され、特に曜変(ようへん)天目と油滴天目は優品が伝わる。
上述の3点の曜変天目茶碗と比べて、この茶碗の器形と高台の処理が粗末さを見せる。
本器は添書きなどから、関白秀次、西本願寺、京都三井家、若狭酒井家などに伝わってきたことが知られる。窯址は福建省建陽県水吉鎮で確認されている。