製薬会社の第一三共株式会社は2008年に46億ドルを投じてインド最大のジェネリック医薬品製造メーカーのランバクシーを買収したが、思いがけないことにアメリカ食品医薬品局が同社の医薬品は品質が基準を満たしていない懸念があるとして輸入を禁止したため、第一三共は巨額の損失を被り、同社を低額で売却することになった。
第一三共だけではない。同じく医薬品メーカーのエーザイ株式会社も、09年にインドの経済特区に生産ラインと研究開発センターを設立した。佐々木小夜子執行役は、「2011年にインドの政策が変わり、医薬品メーカーが税金面の優遇措置を受けられなくなった。インドはさまざまなチャンスに満ちた市場だが、税金政策を予想することができない。インドの投資環境が改善されることを願う」と話す。
自動車のスズキ株式会社はインドで約30年にわたって投資を行い、これまで何度も従業員とのトラブルを経験してきた。従業員は労働条件と待遇に不満があり、傘下のマルチ・スズキ・インディアの工場では12年に従業員と管理職との衝突事件が発生し、管理職1人が死亡し、警官を含む数十人が負傷するという事態に発展した。
▽行動
こうした日本企業の懸念をうち消すため、インドのモディ首相は日本訪問中、日本のビジネス関係者との懇談に力を入れた。モディ首相は、インド政府が行政の審査手続きを簡素化し、インフラ建設を強化し、外資系企業のためによりよい投資環境を創出すると約束した。
日本総研の熊谷章太郎研究員は、「世界中がモディ首相がインド経済振興の約束を果たせるかどうかに注目している。約束を履行し、経済を振興すれば、より多くの海外企業がインドに投資するようになる。人々はインドにたくさんの期待を寄せているが、期待だけに留まっている。なぜなら、まだ実際に存在する政策をみたことがない」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年9月15日