■効力を失った「アベノミクス」
実は女性入閣の真の背景には「アベノミクス」の頓挫がある。アベノミクスは安倍氏が誇りとする経済政策で、昨年打ち出されると日経平均株価は80%上昇。昨年6月のG8サミット、9月のG20サミット、さらには国連総会でも十分人気を博した。
だが今年に入ると、状況は急転直下。各企業の3月期の決算を見ると、「アベノミクス」で利益を得たのは一部の上場大企業のみで、日本の総従業員数の7割を占める中小企業の業績はにわかに下落した。4月には消費税率が5%から8%に引き上げられたことでも、日本の消費は低迷した。
経済学者は、「アベノミクス」の想定した「金融緩和―円安―輸出増加―企業の収益増―収入増加―消費成長」という「好循環」はすでに破綻を来しており、特に物価上昇と円安の二重の影響で、日本の民衆の実際の収入は増えるどころか減っていると指摘する。
「アベノミクス」に対する日本の民衆の信頼は明らかに揺らいでいる。共同通信社の世論調査では、アベノミクスが景気回復をもたらしたとの実感はないとの民衆が85%にも上った。「アベノミクス」は不景気を招くと言う人すらいる。
「アベノミクス」を救うため、安倍氏は「ジョセイノミクス」を打ち出した。「競争相手国」の中国の7%以上の成長率には女性の就労が寄与しており、日本女性も外に出て働けば、GDPは必ず増加すると考えたからだ。