長年集めた戦時中の元強制労働者の資料を整理する韓建平さん
25日、第2次世界大戦時の中国労働者強制徴用問題をめぐって 、日本の三菱と中国被害者団体の和解協議が成立し、三菱が基金を設立して被害者一人ごとに10万元(約200万円)を支払うことで合意したと報道された。しかし、山東省済南市に住む韓建平さんは、ほっと胸をなでおろすことはできずにいる。済南時報が報じた。
日本強制連行中国人労働者山東聯誼会の副会長兼秘書長の韓さんは、第2次世界大戦中、日本に強制連行された中国人労働者の訴訟をサポートしてきた努力が実りそうだと希望を抱いている。1994年から今に至るまでの20年間、韓さんは、山東省の強制労働者の状況や口述、関連の物証などを収集してきた。そんな韓さんは、「三菱が誠意ある謝罪や賠償を行わなかった場合、山東省高級人民法院(高裁)で訴訟を起こせるよう、書類を準備しておく」と語っている。
24歳の時に日本に強制連行された父親を持つ韓さん
27日、筆者は韓さんを訪ねた。1994年から第2次世界大戦中、日本に強制連行された中国人労働者を探し始めた韓さんが、20年間、その努力を続けられたのは、父親の韓瑞華さんもその強制労働者だったからだ。「父親は当時のことを語ろうとはしなかった。それでも、迫害の深さが側面的に伝わってきた。迫害は、身体的なものだけでなく、精神的なものでもあった。父親が当時受けた苦しみは、私が長年中国人強制労働者を探し続ける精神的な原動力」と韓さん。