中国は今年、都市部新規就業者数を年間1千万人とする目標を打ち出した。この目標値は、ここ数年続いた指標より100万人多い。中国人民大学の鄭功成教授は、「この目標値引き上げには、就業政策を前向きに進め、就業ポストを増やし、就業信頼感指数をさらに高めようとする政府の意向が反映されている」と指摘した。
2013年、中国都市部の新規就業者数は約1300万人と、過去最多を記録した。今年GDP成長率の当初目標が前年横ばいなのに対し、新規就業者数はある程度の増加が見込まれている。これらの間で矛盾は生じないのだろうか?
鄭教授はこれについて、次のような見方を示した。
経済成長速度がやや減速傾向にある状況で、就業目標値を引き上げたことから、就業促進を優先・重視するという政府の姿勢が見て取れる。今後、就業ポスト増加がGDP増加に依存する割合はだんだん低下し、代わって産業構造最適化に依存する度合いが高まると予想される。産業構造最適化が就業の促進に作用する巨大な潜在力は、今後ますます強く顕在化するだろう。2013年には、第三次産業就業人口が初めて第二次産業就業人口を上回った。今後も、国民の生活水準が向上するに連れて、サービス業に対する需要も一層拡大すると見られる。このような情勢を踏まえると、就業増加に対する貢献度は、第三次産業が第二次産業を大きく上回る見通し。
報告によると、政府による就業政策の新たな方向性として、「内容の充実した、質の高い就業を実現する」という目標が打ち出されている。数量的な増加だけはなく、質的な向上も伴わなければ、人々の生活の基盤を固める「就業」が確実かつ安定したものと成り得ない。就業の質を高めることで、人々の生活が改善され一段高いレベルに引き上げられ、それによって就労者は誇りと尊厳を持って自分の仕事に臨むことができる。
今年、我が国には、就業事業を進める上で、主に次のような問題が立ちはだかっている。
○労働適齢人口が減少する一方で、労働力供給量全体は引き続きかなり膨大である。
○就業構造上の矛盾がますます際立ち、就業の平等に関する政策は、健全な環境下にあるとは言い難い。
○一線労働者の低賃金問題が未解決。GDPに占める労働報酬の割合は60%から50%以下まで下がり、就業にマイナス影響が及んでいる。
2014年の就業目標が順調に達成できるか否かについては、かなり楽観的に見ている。今年のGDP成長率は、7%台の安定的増加が見込まれており、第三次産業の発展の余地は、まだ十分にある。だが、その一方で、圧力の存在についても見逃してはならない。今年の大学新卒者は、2013年より約30万人多い727万人に達する見込みだ。都市部に流入する新世代農民工は引き続き増加傾向を呈し、就業が困難な人々の存在も就業のネックとなっており、就業圧力は決して緩和されない見通しだ。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年3月6日