企業の革新力をいっそう強化するため、日本政府は最近、「科学技術立国」というビジョンを打ち出し、企業の研究開発の支援を強化している。中小企業に対して研究開発設備の投資に対して免税などの措置が含まれる。日本政府はしばらく前、「第5期科学技術基本計画」を打ち出し、2016年から5年で約26兆円を投じる計画を明らかにした。だがこの措置は「導火線」にすぎない。日本の研究開発の主体はなんといっても民間企業や先進的な大学、周辺の様々な「技術サービス業」である。
高齢化や少子化の影響を受け、日本の研究課題の絶対数は多くはない。全体としての競争力を保つため、上述の機関は、資源を集中し、目標を統一することを求められている。
筆者の考えるところ、今後の日本企業の研究開発目標は、「社会や生活のクオリティを高める」ということである。日本企業の競争力は現在、製品や設備のカギとなる部分で使われている部品や高性能素材、医療、環境保護など人類の生命にかかわる社会システムの分野に集中している。品質を重視することは、日本の研究開発機関の一貫した姿勢となっている。日本の企業界では今でも、高性能の製品こそがヒットすると考えられている。
だが製品の品質を過度に追求することにも大きな欠陥がある。世界的に見ると、新興国の消費者がますます中心層となりつつあり、「価格と品質のバランス」がこれまでになく重要となっている。世界市場のメインストリームは、「一定の性能と合理的な価格」を備えた製品と言える。サービス業のビジネスモデルの革新などの面では、日本はかえって、急激な社会の転換を迎えている中国やその他の新興国に及ばない。
とは言え、新興国の社会がこれから成熟に向かい、中間層が品質を追求し始めれば、日本の研究開発力がより重視されるようになる可能性は高い。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年1月7日