李克強総理は5日、第12期全国人民代表大会(全人代)第2回会議で政府活動報告を行った際、「中国上海自由貿易試験区」について2回言及した。この誕生から半年も経たない「新生児」が中国における改革の全面的な深化のよりどころとなっている。同区は中国の改革プロセスにどのような影響をもたらすだろうか。同区から「中国のスティーブ・ジョブズ」は生まれるだろうか。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
ある統計によると、昨年9月に同区が開業して以来、区内で毎日約100社の企業が誕生している。2013年版の同区の外資系企業投資参入特別管理措置「ネガティブリスト」が優れていたためでもあるが、同区に入居したマイクロソフトやシティバンクといった多国籍大手は、区内での各種制度の変革という新しいチャンスも高く評価する。
さきに海外の起業家たちが同区で「モニター起業」に参加し、そう遠くない将来に同区で登録企業の仲間入りをする意志を示した。「外人さん」たちは、同区で裸一貫から身を起こし、大いに腕を振るおうとしている。
自由貿易区のプラン設計に携わった全国政治協商会議の王新奎委員は次のように解説する。自由貿易区の設立は中国の工商登記制度の改革プロセスと密接な関連がある。「1元で会社設立」というのは生動的な比喩だ。ここには自由貿易区の世界と軌を一にした投資の利便化の実現という発展状況が反映されている。区内の工商登録・登記の実施細則は世界の慣例にますます近づいている。
昨年9月末時点で、同区は登録資本の登記について引受資本を登記する制度を実施すると他に先駆けて宣言。法律や行政法規に特別な規定がある場合を除き、一般的には企業の株主、発起人がその引き受けた出資額、出資方式、出資期限などについて自主的に約定を定め、企業の規定に記載するという方法を採るとした。これが俗に言う「1元で会社設立」で、理論的には資本金が1元でも会社を設立できるというものだ。
王委員の分析によると、一連の先進国では「1元で会社設立」というのは抽象的な比喩であり、たとえばスティーブ・ジョブズ氏が友人達と出資し合って設立したアップル社でも、起業の段階で用地や労働力など一定のコストが投入されている。