刑法第9次改正案(草案)が27日、第12期全国人民代表大会(全人代)常務委員会第11回会議に提出され、審議が始まった。同草案によると、資金調達詐欺罪など9種の罪状が、死刑適用の対象から除外される見通し。新京報が報じた。
2011年5月1日施行の刑法第8次改正案では、文化財密輸罪、貴金属密輸罪、窃盗罪など非暴力的な経済犯罪が死刑適用対象から外され、中国において死刑が適用される罪状は55種まで減少した。
全人代常務委員会法制活動委員会の李適時委員長は、草案について、「刑法第8次改正案が発表されて以来、中国社会の治安情勢は、総じて安定し抑制可能となってきており、一部の重大犯罪は着実に減少している。今回の草案では、9種の罪状を死刑適用から除外する予定で、実践の中で少しずつ死刑の適用を減らし、完全に適用を廃止した後は、最高で無期懲役の判決が下されることなる。死刑適用が除外される罪状については、今後、法律執行を強化し、法に基づく厳しい処罰を実行することで、全体的な処罰の厳格さを減らすことのないよう尽力し、社会治安の全体的な安定確保に努める」と説明した。
〇「資金調達詐欺罪」の死刑適用対象除外が論争の的に
学界や業界では、「資金調達詐欺罪を死刑適用対象から除外すべきか否か」をめぐり、論争が巻き起こった。
中国政法大学が今年の初めに開催した「資金調達詐欺罪を死刑適用対象から除外すべきか否か」をテーマとするシンポジウムにおいて、漢鼎弁護士事務所のパートナー(共同運営者)である張慶方氏は、「少なくとも、一部の資金調達詐欺罪に関しては、死刑判決が妥当と思われるケースが存在する」との見方を示した。
ある司法機関の職員は、「資金調達詐欺は、現在どんどん拡大する傾向にある。この犯罪は、広い範囲で被害者が発生し、群体性事件を誘発しやすい。このため、国家経済や金融の安全に深刻な危害を及ぼす恐れがある。したがって、資金調達詐欺罪を死刑適用対象から除外することは、社会にたいしてマイナスの影響を及ぼし得る」と懸念を示した。
全国弁護士協会の朱征夫副会長は、「資金調達詐欺罪の死刑適用によって、この種の違法行為が減った訳ではない。死刑適用という方法だけに頼って、犯罪を抑制することは不可能だ」とコメントした。