中国人民大学金融情報センターの楊健センター長によると、多くの上場企業には制度設計に欠陥が見られる。上級管理者の基本報酬と業績が適切に結び付けられていないため、上級管理者が高額の個人収益を得たまま、企業が経営赤字となる事態が起こっている。コーポレートガバナンスの失効を示す事態と言える。
ある業界関係者は、上級管理者の報酬と企業業績が結び付けられていないことは、上級管理者の価値観や利益追求と投資者のそれとの間に距離を生んでおり、数多くの投資者にとっては公正性を欠いたものだと指摘する。
赤字企業の上級管理者の高給取得という問題のほか、似た業績の上場企業の上級管理者間の報酬差という問題もある。例えば純利益2.30億元の長城開発の譚文鋕・董事長は年俸365.63万元を得ているが、純利益2.90億元の宝信軟件の王力・董事長の年俸は93.90万元とぐっと低い。両社の業績はほぼ同じであるにもかかわらず、董事長の年俸差は270万元余りに達した。
楊センター長によると、中央上場企業の上級管理者の報酬水準が合理的であるかをはかるには、第一に基本報酬に業界内で大きな差がないか、第二に成果報酬が不当に確保されていないかを考える必要がある。「中央上場企業の業績は往々にして、国家政策や経済周期、産業の景気、独占的地位などの一連の要素と関係する。上級管理者の実績は同業他社と比較する必要がある。また業績の規模は企業の資産規模の大小とも関係するため、資産規模が大きければ利潤額は自然と多くなるが、純資産利益率が高いとは限らない」。楊センター長は、「中央上場企業の上級管理者の成果報酬は、財務指標の固定基準比・同期比・前期比がすべて大幅上昇し、実績が同業他社の平均を上回っている時に限るべきで、そうでなければ受け取るべきではない」と指摘している。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年8月27日