2.国務院の反独占法執行機構により認定されるその他知的財産濫用の独占協議
意見募集稿第5稿において、非競争者間のライセンス契約上の禁止規定に対して上記転売価格の固定行為以外、その他明確な独占協議の形態がまだ定めていない。実務上には、以下のような非競争者間のライセンス協議への制限が、中国独禁法の主要参考立法であるEUにより明確に違法ではないと定められる。これは最終、中国の立法にどのように影響されるか分からないが、もしこれは最終版指針により引続き明確に言及されない場合、独禁法により禁止されないと理解しても問題ないであろう。
ア、ライセンサーが自ら保留する専有地域又は専有消費者グループでの受動販売を行ってはいけない制限
イ、最終消費者に販売しないことを、卸売り業者としてのライセンシーに要求する制限
上記二種類の制限は、競争に制限するが、ライセンサーが独占的に技術を使用する場合やライセンスしない場合と比べ、競争状況が更に悪くなっていない。かつこれが技術流通を促し、独禁法が知的財産法への譲歩とも考えられる。
ウ、ライセンサーがもう一つのラインシーに分配する専有地域又は専有消費者グループで、もう一つのライセンシーが当該地域でまたは消費者グループ向けのライセンス製品販売開始後の何年以内、その他ライセンシーが主動販売を行ってはいけない制限。
ライセンシーが新市場を開拓するため、新設備の購入などの投資及び販売促進を行う必要がある。一定期限の市場保護を受けられない場合、だれでも新技術の購入、投資を行いたくないと考える。EUの場合、2年以内の市場保護が認められる。
エ、ライセンシーが自由にライセンス製品を自己製品の取り換え部品として主動、受動で販売可能な場合、自己使用の為のみにライセンス製品を生産することをライセンシーに要求する制限。
ライセンサーは、ライセンシー自らの製品の組立のみに、ライセンス技術で取り換え部品を生産でき、対外販売を禁止することをライセンシーに要求できる。これは、競争業者の競争製品の生産を阻却する。しかし、修理のため、自己製品の取り換え部品として販売することが認められる。
オ、もしライセンスの目的は、特定な消費者に代替製品の提供にある場合、当該特定な消費者のみにライセンス製品を生産することを要求する制限
これは競争を制限するようにみえるが、ライセンスしないことより、代替製品の提供は市場競争を促進する。
カ、ライセンスを有しない業者に販売しないことを選択的流通チャネル(a selective distribution system)の成員に要求する制限
この制限は、選択的流通チャネルの特性(成員の販売力、資金力、資格など)により決められるものであり、独禁法に関係がない。
作者:周暘 錦天城法律事務所パートナー弁護士(早稲田大学法学研究科卒 法学修士)
「人民網日本語版」2014年9月18日